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エンドー帝国  カンボジア撮影日記

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2005年 12月 27日

1227:渋さ知らズを見ズして年は越せズ

今日は恒例の年末渋さライブ。
毎年12月27日は、江古田の駅前にあるバディというライブハウスで行われている。
渋さを知ってから、毎年このライブには行っている。
今年は不覚にも前売り券が買えズ、当日券買わなければならない。

「渋さ知らズ」とは、言葉でうまく表現できないのだが、物凄く面白い人たちで、まずはメンバーがいっぱいいる。
少ない時は2人から、多い時は50人近くに膨れ上がる。
名前も人数や気分で変わる。
少人数の時は「渋さチビズ」、大編成のオーケストラの場合は「渋さ知らズオーケストラ」となる。

何それ?知らない。

知らなくて当然。
知っている人の方が珍しい。
偶然どこかで出会ったか、よほど音楽に詳しくなければ知らなくて当然。
でも、海外では物凄く有名。
数度に渡るヨーロッパツアーも敢行し、ドイツやイギリスでは、「何で日本人はSIBUSA SIRAZUを知らないんだ!」とまで言われるそうだ。

この集団、ただのオーケストラではもちろんない。
演奏開始前からガソリンを継ぎ足すように酒を飲み、演奏の合間に酒を要求する。
もちろん演奏中もガソリンは常に給油しながら演奏をする。
この時点で、吹奏楽をやっていた自分は驚きだった。
リーダーである、ダンドリストの不破さんは、一見、オサマ・ビンラデインのようないでたちだ。
それも初めて見た時は驚いた。
しかし、彼らの音楽は誰もを魅了する。
初めて彼らに「出くわした」時、俺は心底から引きずり込まれていた。

渋さのすごいところは音だけではない。
全身の95%を露出して踊る、白塗りの舞踏家、原色のカツラにキラキラのスパンコールに編みタイツで踊る妖艶なダンサーが盛り上げる。
そしてふんどしに「玄界灘」ハッピを来たMCの渡部さんが客を煽る。
外でのライブでは火を吹き、クレーンでおねーちゃんを振り回し、ウォータースライダーから人が降ってくる。
何せ、フジロックに4年連続出場、2004年はオオトリだった。

俺は2003年、丸1年渋さのライブに行きまくった。
長野の川原でテントを作って行われた単独ライブでは、前述の通り、火を吹くわ、クレーンで振り回すわ、客席の頭上を台車が行き来するわ、最後には火の滝が出現するわでそりゃあすげぇすげぇ。
何がすげぇって、全部手作り・人力で舞台の仕掛けを駆動させる。
ドリカムだかユーミンだが知らんが、でっかい会場でコンピーュター制御で「ぽちっとな」とは訳が違う。
ステージの緞帳を上げるのも、ワカメで海水垂らしながら客席の頭上を通り抜ける台車も、花火も全部人力。
数時間に及ぶ夢物語に感動し、ラストには涙を流した俺。

その翌週はフジロック。
渋さだけ見るために参戦。
理由は大勢の人が集まるステージを見てみたい、とそれだけ。
だって、渋さを知らない人が渋さを見て、驚く顔を見てみたかった。
例えるならば、誰も知らない深夜番組。
でも、それがサイコーに面白いの。
こんなおもろいのに誰も知らないなんて!
わかるでしょう、こんなキモチ。
それこそ本当にブルーハーツの「情熱の薔薇」の歌詞みたいな感じ。
今まで見てきたことや聞いたことが、全部デタラメな気がしてしまう。
客席に投げ込まれる無数の水風船!
客席を練り歩くクリーチャーの気球。
それは、ただ見るだけのステージではなく、客席もステージと一体化するライブ。
もちろ翌日のネットの各所には「渋さ知らズってすごかった」と書かれていた。

そして11月。
渋さを知って、大学に呼びたいと思ったからやった学園祭実行委員会。
こちらも万全の受け入れ態勢で渋さの皆さんを迎え入れる。
何よりも不破さんがやる気満々だったそうで、メンバーの方々から「こんな楽しそうな不破さんは久々だよ」と言われた。
ちょっと前の大阪でライブに行って右腕を骨折して、前日現れた不破さん。
当日はギブスを外して、骨折してるとはとてもじゃないけど思えない指揮を振った。
たった4人の実行委員とお手伝いしてくれた人という少数精鋭の学園祭は、大成功。
俺、伝説作れたかな?

っていくら熱く語っても言葉で渋さの素晴らしさは伝わらないと思うので、興味を持った人は是非ライブへ!
ちょっと抵抗ある人はワタクシが時間が合えばお供いたします。
これ、ダメって言われたら本気で謝るわ。
今まで、本気で薦めたエンドーセレクションにハズレがないのは知っている人は知っているはズ。
これだけは胸を張って言います。
渋さを知らズして棺桶に入ることは、人生での楽しみのひとつを逃すこと。

前売り券は7時からの販売と言われていたので、6時現場着の予定で家を出た。
大江戸線の新江古田から歩き、途中のコンビ二で酒を買って一杯煽る。
風がめちゃくちゃ冷たい。
江古田の商店街を歩く。
いい感じのベトナム飯屋発見。
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ああ、しかもビアラオが!
まだオープンもしてないかったので、駅の方へ向かうと、390円のラーメン屋、太陽ラーメンへ寒さに負けて入ってしまう。
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ラーメン食した後、やはりビアラオに惹かれ、ベトナム飯屋の前へ。
値段書いてないけど、いいとこ700円だろうと勝手に決めつけ、店内へ。
お店の名前は「MAIMAI」。
ビアラオ注文。
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嬉しい事にピーナッツ付き。
こりゃぁ、里心付いちゃいます。
おしぼりも出てきて、使っていいのか悪いのか考えてしまう。
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だってベトナムだと有料なんだもん。
店内はこんな感じで、「三丁目の夕日」に出てきた、駄菓子屋さんのような雰囲気で、こぢんまりとしていながらも、お洒落です。
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食べたいけど、みかさんと6時半の約束なんで、おいとまします。
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メニューはこんな感じでこれまたお洒落。

バディへ行くと、既に当日券の販売もしていて、40番代半ばだった。
危ない危ない。
上に上がろうとすると、ライブハウスから渋さの美術担当、アオケンさんが出てきた。
「アオケンさん!」と声を掛けると「え~誰だっけ?」と言われる。
「エンドーですよ、工芸大の」と答えると、「あ~っ、遠藤君?コンビに行くからおいでよ」
と言われ、一緒に駅前のコンビ二へ行って酒を買う。
会場外は、ぼちぼちと前売りの若い順に並んでいた。
アオケンさんに着いて行くとそのまま会場内へ。
「いいっからいから」と言われ、会場内の椅子席に座って、リハーサルを見る。
「え、何チケット買ってるの?」と言われ、「いや、関係者じゃないっすから」
学園祭に2回来てもらって、顔パス刺せてもらうというわけにもいかない。
何せ、ここ1年は年末しかライブに来てないし。
アオケンさんとちょっと喋って、みかさんがそろそろ来る頃なので挨拶して外へ出た。
みかさんと合流し、マックで時間を潰す。
それでもまだライブハウスの前には入場待ちの人が列を作っているのでゲーセンで時間を潰した。

会場へ行くとやっとは入れるが、既に奥まで人だらけ。
あえて遅く入ることで、入りきれないで前に出ようとして、立ち席の4列目くらいになんとか場所確保。
俺は大丈夫だけど、みかさんは頭しか見えないのではないか?とちょい心配。
ライブスタート!
1曲目は「股旅」。
曲が始まった時点で体が動く。
スイッチが入る。
普段から熱く語るガンダムよりも熱くなる。
そう、シンタとカンボジアへ行った時、国境を越えたら「急にスイッチが入ったね」と言われた。
それとほぼ同等。
渋さライブの俺は、カンボジアにいる時と同様のテンションなのだ。
渡部さんのMCが響く。
「年末は坊主も走るって言うけどよー、お前らよっぽど暇なんだなー。俺たちはもっと暇だ!」
みたいな感じで客を煽る。
2曲目、「火男」(ひょっとこ)でボルテージ上がる。
最初の3曲で、所要時間1時間40分。
「ナーダム」のイントロでドーカンと大爆発。
「ウォーオーオーオー、オオオーオーオーオー!」
渋さの曲は基本的に歌詞がない曲が多い。
お客さんがメロディーラインを口ずさむと、それがどんどん広まって大きくなる。
歌詞はないけど、皆、メロディーを歌う。
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今年は毎年恒例のイゴーさんが来なかったが、反町さんの「天城越え」。
こんなに盛り上がる天城越えはないだろう。
みんな一斉に大合唱。
「あああああまぎっぃぃぃぃいぃごおおおぉぉぉえぇええええええぇえぇぇぇぇぇ」
そしてフィナーレ、「本多工務店のテーマ」。
会場は最高のボルテージ。
椅子席だった人も全員立ち上がって、全員でメロディーラインを叫ぶ。
本多工務店には振り付けがあって、イントロで右手をギターを演奏するような振りをみんなでする。
もちろん、演奏者も手が空いてる人は皆やる。
「ナーダム」と「本多工務店のテーマ」は、共に渋さで一番盛り上がる曲だ。
「ラーラーラー、ラーララー!」
絶叫。
心臓の鼓動が高鳴る(俺は心臓あまりよくない)。
やめたら最後かの勢いだ。
歌う、とにかく歌う。
最後の力を振り絞って跳ねる。
ライブハウスは芋洗い状態。
後部の人は天井に捕まって踊っている。
椅子席は既に人の波に飲み込まれている。
座っていたら大怪我をするのでもう踊るしかない。
不破さんの指揮で、楽隊の音が下がる。
マイクを客席に向け、耳に手を当て、お客さんに「声を出せ」と煽る渡部さん。
客も負けじと声を出す。
「ラーラーラー、ラーララー!ラーラー!ラーラー!」
歌詞はない。
歌詞なんて必要ない。
渋さは最強の兵器だ。
きっと、世界の戦争している最前線で公演させたら、みんな銃を捨てて踊り狂うだろう。
嘘だと思うなら、その目で生の渋さを見てみなよ。
きっと虜になるでしょう。

そんなで今年の年末渋さも終了。
今年の正月のライブのDVDを「増産する余裕がない」という口上だったので買ってしまう。
新江古田から大江戸線で帰る。
みかさんは中井で降りた。
電車でが通り過ぎる時、撮影しようとしたら、レスポンスを考えて早めに撮ったら早すぎて、慌てて撮り直す。
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西新宿5丁目の廃墟仲間のよっちゃんに電話。
電話したらまだ外で、しばらくコンビに待ったら帰って来たので転がり込んだ。
「これから忘年会だから」
と、そそくさと出かけていった。
服を脱ぐと、Tシャツビショビショ。
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数年前、この状態でトモの家にやはり転がり込んで、正月風邪をひいた。
そりゃ風邪ひくわな。
シャワーを借りて、プレステ2で買ったDVDをちらっと見る。
忌野清志郎 がゲストで来てて、「本多工務店」でほら貝吹いてた。
「ひこーき」を、ムロアヤさんではなく、関根さんが歌っていたのが新鮮だった。
ボーナストラックのヨーロッパツアーの映像は、ヨーロッパの人も渋さのステージで踊って、一緒に本多工務店を歌っていた。
音楽に国境なんてないんだ、そう実感する映像だった。



渋さ知らズ公式HP
自主制作盤CDはこちら「付幸のDisk」がイチオシ。「ナーダム」と「本多工務店のテーマ」収録。
DVD「天幕 宙を駆ける」既に自分の中で伝説の2003年の夏、飯田でのライブでのDVD。
ただ、ライブ時間が物凄く長かったので、その場にいた人間としてはダイジェスト版のようになってしまっているようにも思える。
DVD「ALLD OF SHIBUSA」現時点で最新の渋さDVD。2005年1月のライブの模様を中心に収録。

そして、ついに2006年1月、メジャーレーベルより発売
なんとエイベックス!
しかし、やはり渋さと言えば「ナーダム」と「本多工務店」。
これ入っていないのちょっと残念。

by ong-bak | 2005-12-27 23:53 | 写真日記


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