2005年 07月 21日
ストゥンからコンポンチャム行きのボートに、昨日の4人で乗った。 しばらくは室内にいたのだが、シェムリ~プノンペンのボート全盛期の頃のように、天井へ移動した。 足首を手摺に絡まして座る。 移動している若坊主がダラーと横になっている。 地図には中州程度に表記されてある島々は、かなりの大きさがあり、ボートは網の目を縫うように航行する。 川には、コンクリで作られた道標が頭を覗かせ、いい加減なクメール人でもこれだけはきちんと守って航行した。 これも植民地時代の遺産なのか、ところどころ半壊、全壊していた。 俺は途中の町、クラティエで下船した。 スペイン人カップルとミス・リーとはここで別れる。 数日後たぶんシェムリで会うだろう。 それでも1日ではあるが旅を共にした人と別れるのは寂しいものだ。 クラティエでの目的は、ここから北30キロ程のサンボールという場所である。 色々な地図を見ると遺跡があるっぽい感じだった。 また、コンポントム北の古い王都、サンボールプレイクックと同じサンボールと言う名前を冠しているのが気になっていた。 ロンプラによると、レンタルバイクをしている宿がいくつかあるらしい。 船着場で群がって来た客引きの、江戸っ子みたいなねーちゃんが「バイクならあるよ」と言うのでその宿にする。 荷物を置いて、詰め替え、バイクを借りると、さっき船着場から乗って来たバイク。 WAVEのコピーだ。 「6時に戻って来て」と言われる。 早速途中でガソリンを入れ、メコン川沿いに北上。 これがクラティエから離れると、舗装が剥がれてひどい道。 前輪がガッツンガッツン当たる。 振動が腕直撃で相当痺れる。 そして、道端から、子供たちの「ハロー、バイバイ」攻撃。 彼らにとっては、滅多にないことだろうなんて思って応じているとバランスを崩す。 余裕がないときは泣く泣く無視した。 しばらく走ると、山が見えた。 山と言えば遺跡でしょう! バイクを山に向けてつっぱしる。 地元の人に山の入口を聞くと、戻ったところだった。 山の入口の道には、寺の門がある。 山であり、なおかつ寺があるということは、遺跡がある可能性も高い。 遺跡レーダー感度ビンビン。 山の麓にバイクを停車し、ドヴァルパーラに守られた急勾配な階段を登る。 反対側の階段沿いには、僧房が建てられており、おばあさんたちがいた。 周囲には明らかに遺跡だった、加工された石がごろごろ転がっている。 山を降りてさらに北上する。 この周辺では、川に生息する川イルかを見ることができる。 唯一の観光資源だ。 道沿いにイルカを見るためにイルカ公園があって、そこのすぐ下ではイルカが泳いでいた。 しかし、公園の下は下なのだが距離は100メートルほど離れている。 ボートで近くまで行ってくれるのだろうが、今回の目的は違うし、ここから望遠レンズで見るだけで十分だ。 イルカの群れは、メコン川を呼吸のために浮いたり沈んだりして、あまり面白くない。 「メコン川のイルカみたぁーい!」なんて言ってる女性陣、やめた方がいいよ。 イルカ公園の近くは、メコン川の水面に竹を敷いた、涼みスポットのようで、地元の人で賑わっていた。 メコン川沿いの、木で囲まれた道をひたすら北上。 ついにタイヤがパンク。 サンボールとの分岐のの町、サンダンはそこそこの集落だった。 丁度修理屋があったので修理を頼む。 その間に、近所の貸し携帯を借りて、アキラ先生に電話。 ラオスからカンボジアに着いたことを報告。 「今どこにいんの~?」 と聞かれたので、「今、メコンのサンボール行く途中のサンダンってとこです」 「あー、はいはい。あそこねー、なーんもないよー」 ガビーン。 ここまで必死で来たのにー。 でもせっかくだから行くだけ行こうとさらに川沿いを北上。 2キロくらい走って、さっき修理したパンクがまたパンク。 しかも普通の村の中で、店などない。 これを押してまたサンダンまで戻るのはキツイ。 すぐ近くの民家へ行って、「モト コォーイ(バイク壊れたんだけど)」と言ってみる。 そうすると、道路向こうの数軒離れた民家へ行かされる。 おじさんが出て来た。 助かった! なんだか変な外国人が来てるぞ、と村人が集まる。 修理してもらっている間にちょっと撮影。 デジカメのモニターに写る自分たちの姿を見て、大笑いする子供たち。 おじさんは小さな釘を持っていた。 これが刺さったままだったらしい。 さっきの修理屋、パンクだけ治して刺さっていた釘を取らなかったようだ。 値段を聞くと、おじさんは「モォィポアン(1000R)」と言った。 すげー、適正価格。 でもお世話になったので、2000R渡す。 わかっててぼったくるヤツは嫌いだけど、こうゆう場合は気持ちよく払える。 おじさんの家族と村人に別れを告げ、サンボールを目指す。 サンボールの町は、小さいながらもガソリンスタンドがあり、そこそこの規模だった。 道なりに走ると、午前中船から見えた馬鹿でかい寺が現れた。 境内の隅の祭壇にいくつかの石が安置されていた。 近くにいたおじいさんが「ポル・ポトがぶっ壊しちまったよ」と教えてくれた。 何もなくても悔いはない。 さぁ、クラティエに帰ろう。 寺の前には、メコン川が流れ、メコンを見ながら軽食が食べれる屋台が出ていた。 帰り道、さっきの村でおじさんの家近くでスピードを落とす。 手を振る村人に気を取られ、通り過ぎてしまった。 そこから少し走ると、またまたパンク。 そのままトロトロとサンダンまで走る。 先ほどの修理屋に行って、新品のチューブに交換してもらった。 約束の6時に間に合わない。 帰り道はスピードを出すが、やはり道が悪い。 余所見をしないで運転したので、行きよりかは早かった。 日も暮れた6時半、クラティに戻った。 こうして、俺のメコン川を下る旅は終わった。
by ong-bak
| 2005-07-21 00:24
| ★カンボジアあれこれ★
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カンボジア専門カメラマン、エンドーの旅そして日々の(怠惰な)生活 カンボジアの写真と言えばエンドー帝国。急性骨髄性白血病により2007年7月14日逝去。エンドー帝国は永久に不滅です。 by ong-bak カレンダー
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